ADHDの私はこんまりメソッドで新生活を歩めるか?
驚くほどに片付けができない。
小学校の時は片付けができず物をよく落とし、柏谷ボックスなるものを作られクラスのみんなから落し物をそこに入れるように教諭から指示をされたこともある。
当時は便利だなあと思ってたけど後から悪意があったのかな、とも思っていた。今考えると、悔しい!って思わせてそこからの更生を狙ってたんだろうな。けれど、恥ずかしいとか悔しいと思うよりも前にどうしても無くしてしまうから困る、があったから整理整頓については全く治る様子を見せずに小学校を終えてしまった。
そうして今、部屋がひどい。
ごみごみごみ。液体が出るものだけは床に置かない!というマイルールのおかげでドロッとか、ベチャッ、となることはないものの、菓子パンや服のタグなどの紙、ビニール系のゴミが床には敷き詰められている。
角のクローゼットコーナーには、一人暮らし用のクローゼットを二つ作ったのになお飛び出る服の山々が積み重なる。あれ、私の体って何人分あるんだ?
そうして極め付けは水回りである。トイレとお風呂は、髪の毛をとったり埃をとったりブラシで磨いたり、とある程度算段は取れるのだが、問題はシンク。
そう、シンクの中には数ヶ月洗っていない洗い物の山脈が層を成している。もうこれは発掘不可です。遺跡があるので工事はやめてくださーいってレベルである。実際奈良や京都ってそういう風にして建築計画が狂うことがあるんでしょう?
話をずらそうとして奈良京都の皆様には失礼な真似をしたが、とりあえずもう水回りの片付けが壊滅的なのであった。
だって、お皿の水が…粘液になってる…
ところで近藤麻理恵を皆さんはご存知だろうか。そう、あのときめき基準の片付けを勧め、今や全米に影響力を持つ日本人の一人として名前が上がるほどの、片付けコンサルタント、通称こんまりさんである。
彼女のポリシーといえばこれである。
「ときめかないものは捨てましょう!」
彼女の声が、昨日の私に急に響いた。
今のシンクは?今の服は?今のリビングは?
今の生活は?
ときめかない!!!!
ぜんっぜんときめきないよ!!!!
ときめきを基準に考えた瞬間、私の人生が萎びたものに思えてしまって、背筋に冷たいものが走る。
せっかく診断をもらって、今までと違う日々が始まって、それを受け入れて穏やかに過ごせるようになったのに…。
部屋がこのままじゃ、鬱々とした日々を引きずっちゃう!
そんな予感がビンビンとしてしまって、私は即座に、ゴミ袋へ手を伸ばしたのであった。
そうして1時間後にはいくつかのゴミ袋をパンパンにして、断捨離をすることができた。
前の冬に着なかったセーターやダウン、この夏着たいと思えない半袖の数々。
そして、シンクで眠る、粘液まみれの食器たち。ちょっとだけ申し訳ないとは思ったが、背に腹は変えられぬと思い、自分の身勝手さを呪いながらゴミ袋へと数々のものを詰め込んだのであった。
自分で持てる分だけの、ものにすること。
自分の管理できる範囲の量にものを減らす。
そのためのメソッドとして、こんまりさんのときめき、というのは感情論のようでいて理にかなっているな、と思う。快不快なんて、無意識のうちに感じ取ってるものだから、物の選出に感性を活用するのは確かに道理が通っている。
それに、こんまりメソッドは勢いで一回綺麗な状態作っちゃおう!というコンセプトなのも気に入った。ADHDの自分は、集中すると周りが見えなくなるほど没頭する割に飽きると一切やりたくなくなる。その差が激しいために、毎日続ける片付けは苦しいものだった。が、一気にものを減らして仕舞えば日々の労力はかなり減るだろう。今までよりすっきりな生活を送れる予感が今のところ強く感じられる。
今クローゼットの中には、着たい服、ちょっと休みが待ち遠しくなる服たちだけが残っている。
その幸せといったら!こんまりメソッドはどうやら私に合っていたようである。
雑貨や文房具、何もかもが私のための、私ナイズされた生活。それは、これこそ本来あるべき生活の姿なのではないかな、と思えた。
私はこんまりメソッドで、生活の面舵を取り返すのである。
新しい自分は、軽やかに生きたい。
ほんの少しの、お気に入りたちを活用して、ミニマムかつ簡単楽ちんライフを目指すのだ。
そんなわけで、今日は捨ててしまった食器たちの代わりに新しいものを100円均一に求めに行ってきた。
新しいものは、白を基調に青い縁取りのまるで琺瑯のようなプラスチックの器と、トマトのようにつややかな赤のどんぶり。
どちらも私の家にはない色合いで、存在感がある。
帰ったら、早く洗って使っちゃおう。
そう考えると、ワクワクする。
私もワクワクの敷居が低くなったものだな、と笑ってしまうが、なんだかこんなことでも今は幸せなのだ。
先日から始まった新しい日々。
その傍らに、新しい仲間を呼び込んで。
良い生活を送っていけたら、いいな。
いや、良い生活にしていくんだぞ!自分!