しみくれ「358日」観劇記録。
ご縁がありまして、舞台を見て参りました。
しみくれさんの「358日」
久々に舞台を見る…というよりも本も最近新書ばっかりだったから、創作物に触れること自体が久々でした。物語を見ることの素晴らしさ、そしてそれを生身の人間が演ずることの力強さを再認識。
やはり舞台っていいものですね。
しみくれさんの舞台は初めてなのですけど、いろんな工夫があって楽しい舞台でした。
乱雑ですが記憶が褪せぬうちに感想を残します。
ネタバレありまくり。
未観劇の方気をつけて。
・トリッキーな客席配置
しみくれさんの舞台、他作品でもこんな感じなのかな?客席が舞台ゾーンを取り囲むようにL時に配置されてるんですよね。これが面白かった!いわゆる第四の壁への挑戦なのだと解釈しました。あんまり観劇しない私ですけど、こういう実験的なもの大好きです。
プロセニアムアーチをぶっ壊そうとするとメタ発言でギャグにするとか客席から演者を出すとかそういうのがよくある手法だけど、舞台と客席を可能な限りフラットにする、という手法なんですね。
・選曲がめちゃくちゃに好みだった。
オープニングとラストの曲、なんの曲だろう…。パッと思い出せないけどちょこちょこ挟まるエレクトロ系の曲が良いアクセント。
あの曲家でも聴きたいなあ。曲名知ってる方いたら教えてください(他力本願)
選曲者ほんとにセンスが素敵ですね。
絶対この選曲した人、中田ヤスタカ、RAM RIDER、FreeTEMPO、Jazztronik、CTS履修してると思う(超偏見)
・ストーリーが昨今の情勢にはまり込みすぎててもはや怖い。
政治の話題を盛り込むのは好みが分かれるところにはなりそうだけれども、その良し悪しを通り越して現実へのカウンターとして機能しているのが良い。コロナ前に作られたお話のはずなのに、この情勢下でさらに輝く話になっている。奇跡。
いえ、ストーリー自体はまったくもって現政権の話とかはしてない、架空のディストピアの中のお話なんですけどね…。
・役と役者がハマりすぎている。
主演の男の子、ゲーマーやりたいって言いそう〜〜笑、って思ってしまった。(主演の方ごめんなさい悪い意味ではないです)
妹さんの天真爛漫そうなところや、宇宙人志望の方の得体の知れなさなど、どのお方もはまり役。
おそらく、役者さんの普段の雰囲気や口調などからキャラクターを作り出した、いわゆる当て書きなのかな?となんとなく思った。この辺りの制作過程聞いてみたいなあ。
役者と役がそれぞれしっくりとハマっているからこそ、入り組んだストーリー展開もすんなり観れる気がします。脚本家さんと役者さんの互いの信頼関係がないと作れない脚本だなあ。
あとこれは本当に個人的意見なんですけど。
今回の舞台、男子キャラが全員お茶目というか個人的にツボでした。
みんな童貞っていう謎の設定もなんとなくうなずけてしまうキャラ設定と演技でした。
個人的に反体制的な、圧力と戦うぞ!って話は苦手なのですけど今回スルッと観ていられたのはこの戦う子たちが元来は心優しい、穏やかな子たちだったのだろうな、と感じさせる雰囲気があったからなのかもしれない。
生きようとする渇望とそれでも誰かを傷付けたくはないという姿勢。その2つを両立させながら反旗を翻すという心優しい嘘に溢れたストーリー。
そういうお話にピッタリの役者さん達がよく揃ったものだな、と。
まとめると役者さんとキャラの力が抜群だったって話です長ったらしくごめんなさい。
・ハルさん最強説
もう完璧にネタバレなんだけど。
今回の一番のMVPだったと思ってます。ハルさん。いわゆるグッドコップバッドコップの良い方。
ハルさんの演技は「完璧な味方」なんですよ。
まるで心理カウンセラーのような。
心理カウンセラーは患者に信頼されないと成り立たない仕事だから。
そういう、「誰からも信頼される振る舞い」というものを完璧に体現していた。
そして、正体が割れても何一つ振る舞いがブレることがない。何一つ振る舞いは変わらないのに、その意味合いが全部変わって見える。
この難しい役どころを作り上げた脚本家さんと、そしてそれを演じ切った役者さんに称賛しかない。
総括して、演劇離れしてた私もじっくり楽しめた素敵な舞台でした。生のパフォーマンスってやはり素晴らしい。その中でさまざまな工夫、実験性が織り込まれていてギミックの楽しい舞台でした。
さらにほぼ出ずっぱりな役者の皆さん本当にすごい!
ほとんどの人がそうだけど特に主演の方は出てないシーンほぼ無いレベル。
ほとんど全てのシーンで常に誰かが何かを表現している、緻密な舞台でした。お疲れ様です。
本当に素敵な舞台でした、しみくれの皆さんありがとうございました!